薬剤師兼心理カウンセラーの本庄尚央です。
今日は熱中症防止の意外な落とし穴についてお話したいと思います。
熱中症予防には、適切な水分補給だけでなく、栄養バランスも重要です。特に、タンパク質の摂取が体内の水分保持にどのように影響するのかを見ていきましょう。
血中タンパク質の役割
アルブミンの働き: 血中タンパク質、特にアルブミンは、体内の水分を血管内に保持する役割を果 たします。アルブミンが不足すると、体の水分保持能力が低下し、熱中症のリスクが高まります。
1. 膠質浸透圧の維持
アルブミンは、血漿中の主なタンパク質であり、血液中の膠質浸透圧(オンコティック圧とも呼ば れます)を維持します。膠質浸透圧は、血管内と血管外の水分バランスを保つための圧力で、主にアルブミンによって生じます。
2. 水分の血管内保持
膠質浸透圧が正常に機能することで、血管内の水分が血管外(組織間隙)に過剰に漏れ出るのを防ぎます。もしアルブミンのレベルが低下すると、膠質浸透圧が低下し、血液中の水分が血管外へと漏れ出しやすくなり、浮腫や水腫(エデマ)が発生する原因となります。
3. タンパク質結合と輸送
アルブミンは、水に溶けにくい物質(脂肪酸、ビリルビン、ホルモンなど)と結合して血液中で輸送する役割も果たします。この結合によって、これらの物質が血液中に溶解しやすくなり、結果として血液の流動性や水分バランスが適切に保たれるのです。
上記のことからアルブミンは、膠質浸透圧を維持することで血液中の水分を保持し、過剰な水分が血管外に漏れ出るのを防ぎます。また、物質の輸送機能を通じて血液中の水分バランスにも関与しています。このようにして、アルブミンは体内の水分のバランスを維持する重要な役割を担っています。
タンパク質を多く含む食品
- 動物性タンパク質: 鶏肉、牛肉、豚肉、魚介類、乳製品、卵などは良質なタンパク質源です。
- 植物性タンパク質: 大豆、レンズ豆、ひよこ豆、ナッツ類、種子類、全粒穀物なども効果的です。
バランスの取れた食事
- 多様なタンパク質源から摂取: 動物性と植物性タンパク質をバランスよく摂取することで、必要なアミノ酸をバランスよく取り入れることができます。
- 加工食品の避け: 加工食品は塩分や脂肪分が多く、タンパク質が少ないことがあるため、できるだけ自然な形で摂取することを心がけましょう。
まとめ
血中タンパク質を適切に維持することで、体内の水分バランスを整え、熱中症のリスクを低減できます。
熱いと素麺やうどん等さっぱりしたものが食べたくなりますが、タンパク質の摂取を心がけて熱中症予防をしていきましょう。